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何度も読む

 子どもたちに本を紹介したり、読み聞かせをすると「知ってる」もしくは「読んだことある」という反応をする子どもたちが一定数います。

 私がおはなしを始めたころ、子どもの「知っている〜」は「その話大歓迎、待ってました!」の反応だと教わりました。

 けれど、最近の子どもたちの反応は、知っている本は、もういいという否定的な部分があるような気がします。

 これは、同じ本を何度も読む楽しみを知らないからだとすると残念です。

 何度も読むことで、何度も読むに足る本かの見極めがつくようになります。読者に阿っている本は何度も読むと飽きてくるのです。時代が評価を通した本が素晴らしいというのは何度読んでも古びず、時代を超えて子どもたちを虜にしてきたからだと思いますが、これは、おとなでなくとも、何度も読んだら見えてきたりするのです。何度も読む楽しみを知ることは、一生の財産になります。何度も読む習慣は、無意識に語彙を増やし、自分で使える表現を培ってくれるのです。学校図書館は、何度も読みたい本に出会う場であってほしいと思います。