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棚を新鮮に保つ

 図書館の役割として、選書があります。これは予算があり、収蔵場所に限りがあるので、必要な作業です。既得権益でも偉ぶっているから行う作業でもありません。

 図書館員はその図書館が属するコミュニティーのために蔵書を選び整理し保存します。難しいのは、図書館の蔵書は個人のものではなく、共有財産だという点です。

 長い目で見て財産として、購入すべきか、自分たちの図書館では必要ないかを判断します。そして新刊でなくなったときに保存すべきか、廃棄すべきか、何度も検討し、揮にかけて書架を整備していきます。その作業の中で「棚を新鮮に保つ」という言葉が使われます。

 いかに早く、新刊を並べるかということではありません。古い本が入っていたら、棚が新鮮ではないと思い込むのは早計です。

 棚の前に立った時、面白そう、読んでみたいという品揃えにすることが「棚を新鮮に保つ」ということです。これは図書館員の腕の見せ所とも言えます。

 読者にとって、特に子どもの読者は出版年ではなく、本そのものの新しさが魅力の一つになります。

 時代が評価を通した本は、定期的に買い換えていくと、子どもたちが手に取りやすくなります。内容勝負ですが、背表紙が焼けた姿で勝負させるのは、本が気の毒です。新鮮な棚を作る際にこの点を頭の隅に入れて欲しいと思います。