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何が読書に繋がるのだろう その4

 月1冊の私の本ですが、いつ何を読んでいたのかは残念ながら、覚えていません。私自身、読書記録をつけるほど几帳面な性格ではなく、手掛かりもありません。

 母の方も自営業の父を支えて仕事をしていましたし、家事や手作りすることも大事にしていましたので、小学生の子どもの記録などありません。

 覚えているのは、低学年のうちは、毎月の本は自分で選んでいなかったことと、本は、岩波子どもの本だったということです。当時の岩波子どもの本は、当時の教科書サイズで縦書きだったことを記憶しています。そしてどの本も表紙と表紙のカバーが同じ絵で、きれいな絵がたくさん入っていて、実生活から少し離れた世界だったと思います。

 それは語られる場所だったり、登場人物だったり、主人公が人や子どもとは限らないことだったり、たとえ、日本の同世代の子どもたちの物語でも、少し古い時代の子どもたちが登場しました。今思えば挿絵がそのことを教えてくれていたような気がします。自分の生活とちょっと違うと思ってもそれは、物語の世界に入るブレーキにはなりませんでした。

 そして、この日常から離れた世界は、私を夢中にさせました。自分を思い出さなくていいのです。それもファンタジーほど、異世界ではなく、ちょっと離れた感じがその当時の私にとってちょうどよかったのだと思います。

 結果、それが想像力を駆使するトレーニングになり、もっと長い物語を読むことへの土台となった気がします。