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何が読書に繋がるのだろう その8

 自分が絵本や児童文学に親しんできた過程を振り返ってみましたが、こうやって丁寧に思い起こしてみると、物語に浸ることの積み重ねが大きかったように思います。

 私にとって絵本と、読み物は地続きで、読んでもらうことと自分で読むことの違いをさほど意識していなかった気がします。

 その理由として、絵本をひとり読みした経験が大きかったように思います。それも読んでいる意識なしというより読めていたかは定かではありませんが、文章と絵を一体として丸ごと楽しんだことが読書の基盤を作った気がします。

 拾い読みを絵本でせずに、直接物語として受け止める経験は、物語を読むときに1文字1文字ではなく、単語で、そして文章で、という読み方の癖をつけてくれたと思います。

 おかげで読むことが自然に身についた気がします。それと同時に物語が楽しいものという感覚が身についていたので、本をもらうのは嬉しかったですし、与えられたものを自発的に読んだのだと思います。

 子どもの価値観は経験で培われます。生まれもっての資質という点もあろうかと思いますが、後天的な経験の影響は無視できないと思います。

 ひとりで絵本と向き合う時間が物語に浸る経験に繋がると思います。おとなが干渉しないひとりの時間を守ることが意外と大切なのだと思いました。

 そして私は物静かなおとなしい子どもではありませんでした。絵本を楽しむだけでなく、木登り、虫取り、縄跳びや石けりと言った外遊びも大好きでした。

 絵本はたくさんある楽しみの一つで遊びの中にありました。そのこともとても大事だったのだと今思います。