英文堂さんと並んで、上田図書館は、子ども時代の読書を思い出す上で、外せない場所です。
運の良いことに、上田図書館は学区内にありました。当時小学生は、1人で学区外に出掛けてはいけないという規則がありましたが、学区内、それも小学校の近くだったので身近な場所でした。
その上、図書館は新築されたばかりでした。小学生の私の目にも、その図書館は美しいものでした。経年劣化した現在の図書館からは想像がつかない位、館内はとても明るくて全体的に白い印象で清潔な感じでした。
また子ども室があり、自分の背丈にあった机とカラフルな椅子には心が躍りました。そのサイズ感と鮮やかな色と背の低い書架、空間を生かしたレイアウトは、子どもも来て良い場所という感じがしました。図書館の周りも充実していて、子ども室の隣から外へ出ることができ、公園と図書館が一体化したような開放感がありました。
おかげで子供でも気後することなく、ひとりでも行ける場所でした。気になる本を気になるまま読むことができるので、本屋さんとは違う楽しみがありました。
ただ、私自身は本は家でじっくり読みたいタイプだったので、その綺麗な椅子に座って読み耽ったことはありませんでした。
そのうち買ってもらう本を自分で選ぶようになった頃、母からのアドバイスは、読んだことのない本ではなく、読んで気に入った本を買うのも楽しいと言うものでした。
ですから、その当時私が図書館で本を借りて読むのは、欲しい本を探すのが目的でもありました。
残念ながら、図書館にどんな本があって、どんな品揃えだったのかは、あまり記憶にありませんが、買ってもらった本は図書館で借りて読んだ本だったのだと思います。
けれど、本屋さんであれだけワクワクしたのは、当たり前ですが図書館の本が新品ではないものだったからだと思います。
とはいっても図書館も当りを見つけるためには、重要な場所でした。読みたい本を全て買うわけにはいかないことは子ども心にもわかっていましたし、面白いか確信が持てない本を読んで確かめることをさせてくれる図書館があったからこそ、本を選ぶ目が育まれたと今思います。
図書館も本屋さんも両方私には必要でしたし、今も必要な場所です。