· 

冊数じゃない関係

 休み時間に学校図書館に伺うと、子どもたちが貸出カウンターで、本を借りていくのを見る事があります。みんな楽しそうに借りていく様子に立ち会うのは、見ていても楽しいものです。

 そんな中で、気になることがあります。それは自分が借りた本の冊数を誇らしげに口にする子どもが少なからずいる事です。

 そして、その子が本が読める、読書好きだと周囲も認めている雰囲気がある事です。

 けれど、本の世界に浸って、十二分に読書の恩恵を受けていると意外と何冊読んだかは気にしていないことが多いと思います。

 内容で本を捉えているので、どんな本を読んだかの方が記憶に残るからだと思います。

 学校図書館では、全校児童、生徒の読書状況を把握しなければならないので、何冊読んだのかは、子どもたちの読書状況を計る目安になっているとは思います。

 ただ冊数は、本を借りる習慣がついたかどうかは示してはいますが、読書する力がついているかは、これだけの数を借りているから多分読めているであろうという推測でしかないと感じています。

 図書館は全体の把握より、ひとりひとりと向き合うことが得意な場です。

 読書する力という複合的な能力を計る数値がない以上、どの程度読書ができているのかは、個々見ていくしかないと思います。

 別にひとりひとりと面談をしようというわけではありませんし、図書館だけが全て背負うわけでもありません。

 貸出処理の合間に、「この本もう一回読みたい本だった?」とか、「面白いなら私も読んでみようかな?」とかほんのひとことでいいと思います。本の内容を意識させる声がけをしてみてください。手応えがなくとも、冊数じゃないところを見ている人がいることが大事です。

 図書館員は、利用者の読書内容を口外しないという守秘義務があります。が、読んだ本人と読んだ本に関して話をするのは何の問題もないと思います。特に学校図書館ではそれが、読書が充実する糸口になると思います。