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優先順位をつける

 前回、身も蓋もない、ちょっと悲壮感に満ちたことを書いてしまったので、司書なんて報われないと思われてしまったかもしれません。

 制度的に問題があるから何もしなくても良いとも、志にしたがって滅私奉公した方が良いとも思っているわけではありません。

 私たち、ひとりひとりの力は小さくても、積み重ねることによって形になるので、目的を共有して、長期計画で実現を目指そうと考えています。

 実際、図書館というシステム自体がそういう作りになっています。この時点が完成形というものはなく、その時そのときの現場の人間がコツコツ積み上げてたものが受け継がれて蔵書となっていくのです。これは現場に関わっている人が無意識にやっている事の結果であり、成果です。

 これが共通認識として定着していないために、図書館経営の意思決定権のある人たちと利用者の図書館への要求が多様化しすぎて、何が大事なのかが、わからなくなりがちです。けれど、このまま要求に応えることを優先し続けると図書館が図書館として機能しなくなる危険性があります。

 そして景気の低迷で図書館だけでなく、人件費が削られるのが避けられない今、目的を明確にし、仕事の優先順位をつけるしかない状況だと感じています。

 予算がないからできるところからという考え方は、より問題を複雑にします。予算があろうがなかろうが、守らなければならないものは何かと考えなければ、そして予算によって切り捨てなければならないものは何かと考えなければ、抜けられないのではないかと感じています。