優先順位をつける前に考えておきたいことがあります。
どんな仕事も極めようとすると、どこまでが仕事でどこからがプライベートなのかの線引きが難しいという点です。
労働を人件費という括りで、管理すると、雇用する側だけでなく、当然のことながら労働者側も費用対効果を意識するようになります。
人件費という考え方は、適材適所が叶い、個々が能力を存分に生かして、より力を発揮してもらうことも範疇にあったのではないかと想像します。
けれど、いかに効率よく稼ぐかという、楽して儲かるものを求める人を増やしているのではと感じています。
もちろん効率よく稼ぐことを批判している訳ではありません。きちんと対価を保証できない事で、意欲を削いでいる現状に問題があるのだとも思います。
そして、雇用者だけでなく働いている側も、どこまでが仕事なのか、判断が付きにくく、お互い共有しにくいのも、問題をややこしくしていると思います。
仕事の領域を考える時、仕事とプライベートという考え方だけでは割り切れない世界がある気がします。
例えば、法隆寺の宮大工棟梁をされた西岡常一さんが、道具の使い方でご自身の寝姿まで言及されていて、極めるという事は、プライベートと仕事という概念すらないのだと驚いたことがあります。
松岡享子さんは、アメリカでの児童図書館員時代、子どもたちの図書館員に対する信頼を目の当たりにして、休みの日は、一日中、児童書を積み上げて読んでいたと書いていらっしゃいます。
個々の知りたい、極めたいという気持ちを満足させる時間は、労働時間なのかはわかりません。
けれど、知りたい、極めたい気持ちは大事にしたいと思っています。