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いつも変わらない

 年度末で、何かと落ち着かない時期に入ってきました。学校では卒業式のシーズンです。節目の時期でもあり、いつも以上に特別な時間を意識することもあるのかもしれません。

 個人的には、図書館は、いつも変わらないことも魅力のひとつではないかと思っています。

 仕事の仕方として、目標を掲げ、進捗状況を記録し、達成度としてまとめ、改善点を整理するというやり方が浸透してきています。そのため、数値化したり、見える化という言い方で目に見える成果を求める方向で仕事が捉えられていたりします。

 けれど、このやり方は、工場などの生産性を上げるためには効果的ですが、生産性と結びつきにくい業種では、効果が出にくいと思います。

 図書館は利用者の共有財産であり、個人のものではありませんが、利用者が、読書という個人の営みを行うことを応援し、自分が自分であることを守っていると思います。

 昔からある図書館で静かにするというルールは、多様性を奪ったり、利用者を選別するためのものではなく、利用者ひとりひとりが、自分と向き合える環境を支えるものなのだと思うのです。

 こういった代わり映えのしないことの積み重ねこそ、いつも変わらない状態を継続していく原動力だと思います。

 いつも変わらないは、意外と手がかかり、そして評価されにくいことですが、いつも変わらない場所があることは、実はとても豊かなことだと思っています。