学校図書館も公共図書館も、図書館は、これで完成というゴールがありません。図書館は収集、保存、整理、提供ということを必要とされる限り、ほぼ永久的に行う機関です。
以前は、この継続性を活かすために、職員の異動がマイナスだと考えていました。腰を据えてじっくり取り組むことで、図書館の特性が生きるのだと感じていたのです。
けれど図書館に関われば関わるほど、異動はさほど問題ではないと感じるようになりました。
図書館の継続性は、ひとりの職員が関われる時間で計れるものではないと思うようになったからです。
大事なのは、図書館が必要とされ、長い年月を超えていくことだと思うのです。目指しているのは、労働年数を超えた時間で、50年100年先を見据える活動だと思います。
こう考えていくと、必要なのは、人が変わっても積み重ねていけるための、図書館の羅針盤だと思います。
図書館の羅針盤で思い出すのが、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」です。これは小説で取り上げられたりして、図書館がどういうところなのか、あまり図書館に関わってこない人にも知ってもらうきっかけになったりしました。
このように利用者が図書館をどう捉えていくかだけでなく、図書館職員も仕事に集中しすぎて図書館の目指す方向を見失うことは、ないとはいえません。
そのためにも時にはこういった大きな指針を反芻することで、また先を見通す力になっていくのだと思います。
そして何を羅針盤にするのかは、きちんと決めて掲げていく必要があります。これがあれば、人が変わっても図書館が続いていけるのだと思います。
もちろん、現状の雇用体制に問題がないと思っているわけではありません。雇用の不安定さが、仕事に集中できない状況を作り、先を見通せない事態を招いている部分もあると思います。
けれど、すべてを雇用の問題にすると、こぼれてしまうものがあるような気がしています。難しい問題だからこそ、みんなで考えて行けたらと思っています。