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経年変化

 革製品などは、経年変化を楽しむという言い方がされます。使い込むことによって起こる色や手触りや傷などの変化が魅力の一つとされ、古びたことを否定的に捉えない感じの言葉です。

 似た様な言葉で、経年劣化という言い方があります。これは建物や、製品に使われることが多いと感じています。古くなって不具合が出た時の原因が使い方の問題か、時間の問題かと判断する際に使われている印象です。

 そして経年変化は長く使うことが前提でどう使っていくかに焦点が当たっている感じがしますが、経年劣化は取り換えることが前提で、使えるか使えないかに焦点が当たっている感じです。

 図書館の話をしていて、どうにも話が噛み合わず、もどかしい思いをする時、経年変化と経年劣化を混ぜて話をしているからかもしれないと思います。

 戦後、経済成長に支えられ展開してきた図書館経営ですが、いよいよ予算で問題解決するのは難しくなってきています。公共施設も費用対効果を無視できず、人口減に合わせて、適正な数に絞り込むスリム化が求められています。そして公共施設の長寿命化が図られる様になっています。

 元々、図書館は蔵書を構築することで、時間の経過を見せる場所でもあります。新しく図書館を建てることが難しくなっても、図書館の力が削がれることはないはずです。経年変化を楽しめる感覚は、図書館員は得意なのではないかと思います。利用者を巻き込んで、経年変化を楽しめたら、図書館が図書館らしくあり続けていけるのではないかと想像しています。