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子どもの視点

 絵本を楽しむ時、絵が物語の理解を助けている事は、おとなも子どもも違わないと思います。文章と絵が一致しているかが大事なのも、絵が物語を形作っているからだと思います。

 そう考えると時代を超えてきた絵本は、登場人物の服装や生活習慣、家財道具や家の様子などが、その当時の時代を反映していて今の生活とかけ離れていたりするので、子どもたちが読むのに相応しくないのではと心配されることがあります。

 けれど子どもたちは、今の自分の生活との違いをおとなが心配するほど気にしていないと思います。

 子どもにとって絵本を楽しむ事は遊びの一つです。子どもにとって遊びは、自分の身体や頭を積極的に使う事であり、人や物との関わり方や距離感を覚えているように思います。

 遊びである以上、子どもにとって絵本の世界は独立したもので、現実とは違うことを無意識に理解しているのではないかと思います。例えば、ごっこ遊びなども、遊びをしている間、何かの役になっていたとしても、その遊びが終われば、自分に戻るように、絵本も物語が終われば、必ず現実に帰ってくるからです。

 細かい違いが気になるのは、知識や経験が豊富なおとなで、意外と子どもは物語を丸ごと受け止めることができるのだと思います。