写真は言葉を介さない分、見る者の心に直接訴える力が強いと思います。
言葉ではなく視覚に訴えるという点で絵画と近い印象があるかもしれませんが、画集と写真集では受け取るものが違う感じがします。
そして写真を撮る感覚も変わってきて、インスタ映えという言葉が一般的に使われるほど、写真は誰もがどこでもいつでも撮るものになってきています。写真で出会わなければ、直接見ることがかなわないものも多いですし、カメラの性能が上がっていることとインターネットの普及で美しく迫力のある写真をいつでも手軽に見ることができます。
また写真を見て心惹かれる事は多いと思いますし、自分が見て心惹かれたものを写真にすることで、一緒にいなくても共有できる、楽しみを分け合うおもしろさがあると思います。
ただ写真で分かち合うことには、限界があることを意識していたいと思います。
特に中身で勝負している図書館などは、写真が伝えるものに引っ張られすぎると、本末転倒になると感じています。
以前 海老名市で指定管理委託されている海老名ツタヤ図書館を見学したことがあります。
一般的な図書館と配架方法や本の配置を、おそらく意図的に変えて、天井までの書架が柱のように立ち、迷路のように配置されていました。本の森といった印象で、こういった見せ方もあるのだと思いました。驚いたのはその天井までの書架の上部の段は一見すると本の背表紙に見えましたが、ハリボテでした。これは見た目重視と感じましたし、写真を意識しているのではないかと勘繰ってしまいました。指定管理を受けるには、プレゼンテーションが必須です。そのためにはこういった写真は雄弁に語る気がします。
写真の良さも十分わかっていますし、その恩恵も受けていますが、慎重に扱った方が良い場合もあると思った体験でした。