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知恵をしぼる

 今年は、急に暖かくなったためか、気がついたら桜が見ごろになっています。開花の始まりを期待する間がなく何とも風情がない咲きかただと思い、いつも桜の開花を待つ時間も含めて楽しんでいたのだと思ったりしています。

 桜を眺めていて、思い出したことがあります。桜は桜堤という言葉が生まれるほど、川沿いに植えられていることも多く、川に沿った桜並木の名所が全国各地にあります。諸説あるそうですが、江戸時代に水害対策として堤防に桜を植えたというのが始まりだそうです。理由は、桜の木が他の木に比べて広く大きく根を張らせること、お花見の見物客により新たに人を雇うことなく堤防が踏み固められること、桜の花が咲く時期は冬の凍結で堤防に空洞ができ補強したい時期と重なることなのだそうです。ウィンウィンの関係という言葉をよく聞きますが、最近の考え方ではないのだと改めて思います。桜堤は為政者も住民もお互いにメリットがある方法が成り立っている例だと思います。長いこと恩恵に預かってきた桜堤にも弱点はあるそうですが、最初の成り立ちを考えると、また知恵をしぼって越えていけるのではないかと期待が持てます。自分の置かれた場所で、知恵をしぼることが生み出すものを信じたいと今年の桜を見ながら考えました。