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置かれた場所で その3

 子ども読書推進に関する法律では様々な立場の人が関わることが盛り込まれています。その考え方に異存はありません。子どもたちに寄り添うには人も手法もたくさん合った方が良いと思いますし、すべての人が関わるべきという理念は心強いと思います。

 ただ私たちは法律が示している立場が違うもの同士が一つの目標向かって活動することに慣れていないと感じています。自分も含めてですが、一つの目標に向かって協力するというと学校生活での体験がベースになりがちです。アプローチの仕方から考えるような目標が与えられることはなく、やることは決まっていた印象でした。皆で同じことをすることになり、足並みを揃えることを求められることが多かったと思います。この、力を合わせて一致団結するという経験が立場が違うもの同士の協力を難しくしているのではないかと思います。

 子ども読書推進で私たちが求められているのは、アプローチの仕方の多様性だと思います。目標を統一して手法や行程は違って良いという状況なのだと考えています。そしてその立場の専門性を活かした視点が欲しいのだと思います。自分以外のアプローチに活路を見出したりアプローチを統一したりせずに、それぞれ自分ができる最善を工夫し続けることで、目標を達成しようということなのだと思います。

 実際、様々な立場の人が包括的に一つのことに向かうと、自分以外の問題点も共有することになり、問題点が増える印象になります。そして問題点の優先順位が掴めなくなったり、自分以外の立場の人の問題を解決すれば、すべて解決するのではないかと問題のすり替えが起こったりします。その上包括的に取り組むことは財政的なサポートの必要が最小限で済む方法だと思われている節があります。考えてみると無謀な挑戦に思える内容です。それでも叶えたい目標だと感じている人は多いのではないかと思います。それぞれが置かれた場所で知恵を絞り、お互いを信じて共に可能性を探れたらと考えています。