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使って覚える

 言葉は使わなければ身につかないことは、誰もがなんとなく感じていることだと思います。特に外国語の習得などでは使うしかない状況を作る語学留学などがあるので意識されていると思います。

 しかし母語は生まれた時から時間をかけて会得していくので成長とセットで捉えられることが多く、使って覚えるということを意識する機会が少ないのではないかと思います。そのため使って覚えるということが軽視されている気がします。言葉は相手や場合に合わせて選んで使うものです。言葉を知っているから使えるとは限らないと思います。使うことで使い所を会得していくのだと思います。

 そのため使い方がふさわしくないと感じたら、教えてあげたほうがいいと思っています。もちろんおとな同士の場合は、相手の言葉の選択に違和感を感じてもあえて使っていると考えるのが自然です。言葉の選択はその人の個性でもあるからです。

 けれど子どもに対しても個性だと考えるのは飛躍していると思います。そして子どもに家庭のことを持ち出されても、怯むことはないと考えています。場所によってふさわしい言葉があるので、家庭と切り離して伝えることができるからです。時と場合によって言葉を選択して使うことは社会の一員として必要なことだと思います。また言葉を使い分けることを求めることが個人の権利を侵害することにはならないと感じています。

 そして言葉を使うことで言葉が選択できるようになるので、使って覚える場が必要です。子どもを取り巻くおとなとして、子どもと関わるときは使って覚える場であることを意識したいと感じています。