· 

国語の教科書と学校図書館

 学校図書館は今までも国語の教科書をチェックし、教科書に載っている本は積極的に蔵書として準備し子どもたちの学びを援助してきました。今回の教科書が今まで以上に本が紹介されているということにいち早く気がついているのはその実績があるからです。

 けれど今回の改定には、掲載されている本の準備だけでは子どもたちの学びに対応できないと感じています。以前のように該当学年で何を身につけるかという基準の中に子どもが主体的に学ぶことが入ってきているからです。

 子ども自身が学ぶことを楽しいと感じることが自発的に学びに向かう原動力になるのは事実です。けれど学びに必要なスキルなしに学べないことがあまり重要視されていない内容だと感じました。学年が上がるにつれて読むことは習得済として展開されている感じなのです。学年に合わせて授業でアップデートしてきた読む力は、授業で身につけるのではなく教科書をヒントに自分の興味を生かした魅力的な課題に取り組む中で自主的に身につけることになっているとも取れる内容だと思いました。そのため、たくさんの本が載せられていることも読む力は授業の中ではなく子どもが自主的に読書することで身につけるという示唆でもあると取れました。

 読んでいるのが国語の教科書だけでは読む力はつかないという点では同意見です。けれど読書することで読む力を身につけるには読み応えのある本と充分な読書量が必要です。そして私たちは子どもが自主的に読書する事が当たり前ではないことを知っています。読み応えのある本に取り組む意欲を育てることの困難も知っています。それでも今まで以上に読む力がつくことを意識して本を厳選し、読書が習慣になるよう考えていかなければならなくなったと感じています。これからの学校図書館は読む力を育むことを意識した選書や運営が求められていると思いました。