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読み応えのある本 その2

 おもしろい本を選ぶために必要なのは、実際に自分で読んでみることではないかと思います。実際読んでみないと自分がどう感じるかは分からないからです。どんなに素敵に見える服でも自分に似合うのかは試着して鏡で確認しないと分からない事に似ています。試着と一緒で読んで確かめることで自分の好みを知っていくのです。自分が夢中になれる本は自分にしかわかりません。そのために読んでいるというのも読書の一面です。そして読む前と読んだ後でその本の評価がどう変わったかが、次に本を選ぶ時の目安になります。この経験を積むことでおもしろそうな本を見分け自分で選べるようになっていきます。けれど学校図書館では読む経験を積む前から自分で選ぶことを重要視し進めているように感じます。そのため子どもたちが内容以前に表紙などの見た目で本を選ぶことになっているのではないかと思います。図書館を利用することと自分で選ぶことを同義に扱えるのはおとなだけだと思います。学校図書館は公共図書館と違う対応が求められるのはそのためです。

 学校図書館は、積極的に読んで確かめることを薦め、反応を受け止め、読み手の希望に沿った本を提案していくことが大事だと考えています。読んでおもしろくなかったから本はおもしろくないという短絡的な判断に陥らないようにサポートしていく役割なのだと思います。新しい指導要領で教師は指導だけではなく子どもを援助する伴走者的な役割を求められていますが、学校司書こそ伴走者だと思います。長期的視野に立って子どもの読書に寄り添い読書の楽しみを共有する仲間でありたいと考えています。時間と手間がかかり目新しいことは何ひとつなく平凡なことを焦らず地道に続けることが読書であり、読書への誘いだと思います。