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成果?

 対価が発生すると成果が求められます。対価と成果は対になっていて切り離せないものだと思います。そして成果は具体的で目に見えるものの方が成果として納得しやすいものです。図書館の評価が分かれるのは、この成果がわかりにくいからだと感じています。

 図書館の場合、大きく分けて蔵書と図書館職員が対価の対象です。そして蔵書と図書館職員はきっても切り離せない関係にあります。蔵書は選書することで管理され、選書は職員の目が頼りだからです。一般的な経営感覚で想像するより人員整理が痛手になるのはそのためです。そして選書をおざなりにすると図書館という形態自体が壊れると思います。選書など必要ない、公共のものだから利用者のリクエストに応えればいいという考え方は以前から存在しています。けれどリクエストに応えることを選書の代わりにすると、予算をリクエストで消化する形になり、誰かがその時読みたかった本が図書館に並びます。これに対応して廃棄基準も誰かが読みたがっているかという利用状況に特化する形になり、図書館から貸本屋への業種変更になってしまいます。

 こう考えると図書館での蔵書や図書館員への対価は未来への投資の部分が大きいのではないかと思います。成果を見せにくいのはこのためなのではないかと考えています。見えにくいから成果が見えなくてもしょうがないと言いたいわけではありません。けれど図書館職員に未来を支えるという意識は必要だと思います。毎日の業務は変わりばえのしない事をコツコツとこなすことなので、未来を作るという感覚は大袈裟な感じがするかもしれません。けれど図書館は生き物です。私たちが生活しているように同じことを繰り返しながら命を繋いでいるような気がします。