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学校図書館と読み聞かせ

 学校の先生方とお話ししていると、私の想像以上に図書館の時間に司書に読み聞かせをしてもらうことを前提として考えていらっしゃると感じます。2001年に制定、施行された「子どもの読書活動の推進に関する法律」の成果を感じ感慨深いものがあります。法律はこうやって穏やかに隅々まで浸透していくのだと20年の移り変わりの中にあって感じています。この変化は学校図書館にとってプラスだと思う反面、実際読み聞かせに取り組む司書にとっては課題が増えたと感じています。

 あまり知られていませんが、司書に限らず専門教育で読み聞かせが学べる科目はほとんどありません。子どもの発達に関連して読み聞かせの必要性、文学史に絡めた絵本の変遷、絵本の全体像を知るための絵本論などは学べても、読み聞かせは子どもに絵本を渡す手法の一つとして他の様々な手法と共に知識として学んでいるというのが実状です。

 加えて日本では親子間の読み聞かせが主流で集団への読み聞かせは保育園等の集団保育の現場のものという捉え方が長く支持されてきました。そのため集団への読み聞かせは保育園でのやり方を思い浮かべる人も多いと思います。けれど保育園では集団での活動の一つとして読み聞かせを考えています。紙芝居と絵本が同列に扱われていたり、劇遊びなどの活動の導入に使われているため学校図書館では参考にならないと考えています。そしてこれも法律の産物といえる読み聞かせボランティアの増加に伴い、読み聞かせに関する方法論や実践例の本が次々に出版されました。これらの本も応用が利くものではなく、参考にはなっても学校図書館で読み聞かせの助けになるとは限らないと感じています。

 これだけ学校図書館での読み聞かせの需要があるなら、学校図書館用の読み聞かせのスキルが必要だと感じています。知識はアップデートが必須です。社会教育の理念を身をもって体験する時がきたのだと感じています。