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中学生の国語の教科書

 新しい学習指導要領に沿った小学生の国語の教科書が衝撃的だったので、中学生の国語の教科書も読んでみました。そして変化ではなく以前の国語という教科とは別物だと感じました。

 以前の国語は基本的には文学が教材で、それらを読みこなせることが重視されていたと思います。そのため基礎になる文法や漢字を学び、行間から作品の登場人物の人物像を深めていくことが求められました。文章を書くことも文学的な土台の上にあったと感じています。文学的な素地は教養として必要だという暗黙の了解があったのだと思います。

 けれど新しい教科書は、言葉が思考の土台だという強いメッセージを感じました。そして言葉を使いこなすことで何ができるのかを体験していく内容だと感じました。言葉で自分の考えを深め整理し分析して発信することの過程を教えています。自分と向き合うことが意図的に組み込まれ、文学というより哲学的な印象を持ちました。 

 そして具体的に図書館として取り上げられていませんが情報という言葉が多用され情報の収集の仕方や記録の取り方など図書館を使いこなすことと同義の内容が盛り込まれています。学校図書館が国語科に協力できることが増えたのではないかと思います。学校図書館の役割が定義し直され、読書するだけの場所ではなく学習センターや情報センターであるとされたのは、この変化の準備だったのかと思うくらいです。狭い解釈で授業に使う資料を集めることが学校図書館の情報センターとしての役割だと思っていては変化に振り落とされる危険があります。司書の専門知識が国語の学びと深く関わってきていることを意識して変化に対応していく必要があると感じました。