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違いがわかる

 昨日友人からキャットフードを譲り受けました。猫を飼っている人なら多分聞いたことがあるブランドのもので、うちの猫に食べさせたことはないものです。早速与えてみると驚くほど夢中になって食べました。値段が値段なのでそこに目が行きがちですが、猫のことを知り尽くしたものなのだと感心しました。古いCMで違いがわかるというキャッチフレーズをつけたインスタントコーヒーがありましたが、まさしく違いがわかるんだと妙に納得しました。飼い猫は与えられるものをただおいしいかおいしくないかだけで食べていますし飼い主が餌を変えない限り比べる機会もありません。そして栄養価も素材も価格も食べるか食べないかを判断する助けにしていません。それでも高品質なものがちゃんとわかることに心を掴まれました。子どもと本の関係に似ていると思ったのです。

 子どもは自分だけで本を手に入れることができません。そのためおとなの助けを必要とします。そして与えられた本に心惹かれたら周りのおとなに何度も繰り返して読んで欲しいと要求したり、自分でも読むのだと思います。いつ何がどう子どもの心の琴線に触れるのか、正確なところは誰も予測しきれません。そのため最終判断するのは子どもです。けれど子ども時代に手に取る本の質はおとなが保証する必要があるのだと思います。子ども自身が判断するのだからと言って品質まで子どもの判断に丸投げするのは無理があります。品質を見極めるには比較が必要で、そのためには周囲のおとなが系統立てて本を読んでおく必要があるからです。猫と同列に扱う訳ではありませんが、おとなのように説明できなくても子どもだって品質の違いはきっとわかるのだと思っています。決して子どもだと侮ることなく、品質を見極めていくことが必要だと思います。