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古い絵本

 私の本棚には、子ども時代から大切にしてきた絵本があります。時代が評価した絵本が多く今でも購入可能な絵本が多数含まれています。それらの絵本は出版されてから約半世紀私の本棚に並んでいます。子ども時代に繰り返し読み、おとなになってからも時折手にとってきました。そのため経年劣化は避けられず、自分以外の人が見たらただの古ぼけた絵本にしか見えないと思いますが、この風化していく様も思い出の記憶と連動する作用があり自分の絵本だと愛着を感じます。

 しかしこれが当てはまるのは、読み手が同一である個人の蔵書の場合に限られるのではないかと思います。図書館のように読み手が変わっていく際には、物理的に時間が経過した絵本の良さは発揮されないと感じています。

 絵本の場合、時代が評価を通した絵本は、時代が変わっても支持され出版され続けたことも時代を超える原動力になったと考えています。アンティークを好むような感性は、個々のセンスと直結していて経験と知識によって培われます。そのため絵本が子どもの本として生き残るには、本として古びないことが大事なのだと思います。初版本や版が改訂されたりした資料として重要な絵本を保存していくことも図書館の役割です。けれど貸し出しに関しては時代が評価を通した絵本こそ経年劣化を感じさせないものを揃えることが大事です。そして買い直していくことは、出版を支え時代が評価を通すことの助けになると考えています。