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読んで確かめる

 学校図書館にお邪魔していると、子どもが表紙で本を選ぶ様を目にすることは珍しいことではありません。子どもたちは背表紙のタイトルから当たりをつけ、本棚から引き出して表紙を見て手に取るかを判断しています。誰に教わったわけでもなさそうですが、多くの子どもたちやっているのを見ると、新刊のタイトルがノリのいい勢いのあるものだったり表紙が子どもが喜びそうな絵になる理由がわかる気がします。ここで子どもの琴線に触れなければ、読んでもらえないだけでなく、手にとって開いてももらえないのですから力も入ろうというものです。

 けれどその様子を見ていてもったいないなぁと思うのもまた事実です。自分の好きな本を思い返してみても中身が抜群におもしろいのにタイトルや表紙が魅力的とは思えない本がたくさんあるからです。見た目通りの本もあれば、見た目とは違う本もあるということは読書経験を積まないと分からないことです。タイトルと表紙だけで選ぶくせをつけると、自分にとって本当におもしろい本に出会えなくなる可能性があると感じています。

 そしてタイトルと表紙で選ぶことは、ネット書店の広がりにつれてより顕著になっていると感じています。手に取る事ができないジレンマを解消するために、一部中身が読める、目次が公開される、内容紹介等の工夫はされています。加えて読者が内容を五段階評価することや内容についてコメントするなど選ぶ手がかりが用意されています。また手に取れないことを逆手にとって学校図書館で起こっている様な表紙勝負の見せ方も増え、表紙が素敵な本といった紹介のされ方もしています。

 この流れの中、せっかく実際手にとって中身を確認できる場所があるのです。手に取る楽しみを伝えていきたいと考えています。そして読んで確かめることを子どもたちにもお勧めしたいと考えています。読んでみたらおもしろかったよねという体験を子どもたちが積む事ができるのが学校図書館だと思います。