子どもの読書に関わってきて、読むことが苦手な子どもたちも必ず読めるようになるはずだと感じています。子どもたちは特に教えなくとも物語を好みます。自分で読むようになる以前から絵本を楽しみ物語を聞くことを楽しみます。物語を好む理由をあげれば個々違うのでしょうが、もっと大きな括りで捉えると物語は人類の進化と共に人間の営みの中に既に組み込まれていると思えます。
そして今私たちの前にいる子どもたちがどのような環境でどのような経験を積んできたのかによって現状の読む力の差を感じることがあります。けれど読書するための望ましい環境と望ましい経験というのは読むことへの移行がスムーズいくためのものであり、その経験がなければ読めない訳ではないことを子どもたちの読書に関わる者は意識する必要があります。読む力を身につけていく過程は様々で進捗も様々です。子どもたちの成長は規則的に同じペースで進む訳ではありません。ゆっくり進んでいる子どもがある日突然変化することは珍しいことではないと感じています。
子どもの成長を考える時、思い出すのがおむつの話です。子どものおむつがなかなか取れずに悩んでいた時、先輩お母さんの「おとなになるまでおむつが外れなかった子はいないよ」という言葉にハッとしたことがあります。学校は同年齢の子どもが集団になっていますから、おむつと一緒で習熟度を比較しがちです。けれど大事なのは習熟度ではないのだと思います。その子が読めるようになる道筋を示し丁寧に付き合うことが子どもの読書に関わる者の務めだと感じています。