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考え方として

 読書は基本的にはがんばって取り組むような大層なことではないと思っています。1人読みを始めた段階では、トレーニングの色合いがありますが、活字を追うことが自然にできるようになれば、あとは何を読まなければならないという物ではないと思います。読みたい時に読みたいものをというのが読書の基本です。ただ年齢が上がるにつれて、必要に迫られて情報を得るために読むことが増えるので、読みたいものを読みたい時に読む以外の読書もするようにはなります。

 そして読みたいものを読みたい時読むのが読書と言えるのは、活字を追うことに不自由を感じない状態ができてからだと考えています。読む力が不十分な時は読む力が育つための様々なサポートが必要で、本人の読みたい気持ちにまかせるだけで読めるようになる子ばかりではないと考えています。

 子どもの学びは、楽しいと感じていないとうまくいかない部分があります。大事なことだから我慢して続けるというような考え方は第二次性徴が始まる10歳以降から徐々に身に付く感覚だと思います。そのため子どもたちはおもしろそうと思わなければ本を手に取りません。ですから子どもたちは表紙の絵やタイトルでなんとかおもしろさを見つけようとしているのですが、おとなが関わることで本の中身に目を向けさせることができると感じています。

 そのために子どもが読んでみようと思えるような本のアピールの仕方が必要だと考えています。展示やポップなど本のアピールの方法として様々な手法がありますが、まずは言葉にするところから始めてみるといいと思います。おもしろそうが伝わる言葉を探すというより、主人公を紹介できる本を増やしていく感じです。知らない本はアピールできません。大事なことは地味なことの中に含まれていると感じています。