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変化する時

 月に1回、参加者がそれぞれ最近読んだ本を持ち寄って本の話をする会をしています。持ってきてもらう本に条件はありませんが、あえて言えばその本の内容を誰かと分け合いたいと思ったものでしょうか。そのため本は本人がその場で順番に紹介してどこがどう気になったのかを話します。聞いている側は相手に質問したり紹介された本の中を見たり、時にはその本私も読んだという別の読み手の感じたことが加わったりしてその本を中心に話の輪が広がります。また本の内容と参加者の興味で本の内容から脱線もありです。

 そんな感じなのですが、昨日のその会で学校教育の話になりました。発端はブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』でした。この本はイギリスの中学が描かれているけれど日本の中学はどうだろうという話になったのです。お子さんが中学生という現役の保護者が参加していて、お子さんが通っている中学が珍しい担任制をしていることを話してくれました。1人の先生が一つのクラスを受け持つのではなく、全員の先生が全校の生徒を受け持つという目的のもと短期間で担任の先生が変わっていくというかスライドしていくのだそうです。もちろんメリットはあるのでしょうが、現段階では子どもが混乱しているという話をされていました。先生によっていうことが違うので、どの指示を守っていいのかわからなくなっているようです。そしてそれを今いる担任に訴えても「聞いておくね」という返答でまた次の先生が担任になるので回答が来たことがないのだそうです。おまけにそれが繰り返されるのでだんだん訴えるのも面倒になり諦めの境地になっているようなのです。何人の先生がどんな周期で変わるのかや対象となるクラス数など具体的には聞けなかったのですが、1学期ごとに変わるというペースではなくもっと頻繁に変わっている感じでした。

 この担任スライド制は担任の変わる周期は様々なようですが導入したというニュースを目にするようになってきています。この変化がいいのか悪いのかは私はよくわかりません。けれど今あるシステムを変えるには、かなりのエネルギーが必要です。長く使われてきたシステムであればあるほど、よくできているからです。変える時はそれでも変えようと思うだけの理由があるのだと思います。そして周到な準備をしたとしても不具合は出ます。新しいシステムの発想自体に問題があるのか運営上の問題なのかを混ぜて考えないことが大事なのだと今回の話を聞いて思いました。変化の時は慎重に問題点を見極めないと見誤るのだと感じます。