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文章の方がいいことも

 文章を書くのも読むのもまどろっこしいので、もっとやりとりをスムーズにしたいという感じる人が増えている感じがします。そしてその感覚がLINEのような新しいコミュニケーションアプリが若年層を中心に活発に使われる理由の一つかと想像しています。特にラインはチャットのようなリアルタイムに近いテンポで会話が進むためスタンプと呼ばれる様々なデザインの絵が使われ、文章での説明に頼らない方向でコミュニケーションが成り立つ形になっています。

 ただ文章に頼らないやり取りの場合、相手をよく知っていて相手の価値観を知っていないとうまく成り立たない印象を持っています。基本的に発信される情報量が少ない分、受け手が相手の情報を補完して受け取らないと意図が汲み取れないと感じるからです。別に難しいことをやりとりしている訳ではないので直感で感じるものだとLINEを使い慣れている人には笑われそうですが、噛み合わないなあと思うことがあるのです。

 先日友人にLINEで写真を送りました。その友人は生活の中でよく写真を撮るようで、風景の写真などをさりげなく送ってくれるのです。私は日常的に写真を撮る習慣がなく受け取るばかりだったので写真を送ってみたくなりました。それは最近初めてカイツブリという鳥の存在を知り、孵化したばかりは親鳥がひなを背負って泳ぐというので見に行った際の写真でした。場所は塩田地区のため池で、体長は30センチに満たない小さな鳥なので双眼鏡で観察するレベルです。送った写真に「こんなに小さくしか撮れなかったけれどカイツブリかわいい」という文章を添えました。けれど写真から友人が興味を持ったのはため池でした。そのため望んでいたカイツブリの話題ではなくため池のやりとりになりました。そして伝えたいことがずれてしまったことに関して触れることができませんでした。こんな時文章だったらと思います。文章なら何に興味を持ってどう感じたのかに焦点を当てて伝えることができます。共感されるかどうかはわかりませんが、少なくとも伝えたいことがずれて話が噛み合わなくなることはありません。写真は文章では伝えきれないものが伝わることもありますが、自分が伝えたいことが伝わるとは限らないことを痛感しました。文章も写真もそれぞれ特性があり適材適所を選ぶことが大事なのだと改めて思いました。