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比較すること

 現在私は「上田子どもの本研究所」用と「おはなしざしきわしの会」用の2つのブログを書いています。書き始めたときは、内容が違うものとしてくっきりとした線引きが私の中にあったのですが、最近その境界線が曖昧になってきています。どちらも私の中では「子どもの読書」という括りの中に入っているものです。そのため子どもを取り巻く環境や育っていく過程といった同じ問題が絡んできます。そしてどちらも今の子どもの姿だけでなくその子たちがおとなになっても読書に親しんでいけることを視野に入れています。感覚としては読書仲間を増やす感じでしょうか。そして2つの違いはブログを読んでもらおうとしている対象が違うことです。「上田子どもの本研究所」の方は図書館に関わる人を想定して書いていますし、「おはなしざしきわらしの会」の方は語り手を想定して書いています。けれど最近書きながら「あれどっちのブログの話だっけ」と自分でも戸惑うことがあります。書いている本人がこの調子ですから、読んでいる人も違和感があるのではないかと想像しています。

 ただこんな風に改めて比較してみると、全体像がよく見えておもしろいと感じています。行政などが計画するとすぐに〇〇連絡会と言った括り方をして横の繋がりを作ろうとします。私はその動きが苦手でした。横の繋がりは足並みを揃えることを求められ自分の進もうとする力にブレーキがかかるイメージがあったからです。けれど自分のやっていることでも比較することで今回の様に気がつくことがあります。きちんと分析するには比較は大事なのだと思います。

 今、競争の時代から個性の時代となり比較すること自体を避ける風潮があります。そして一方的な力の差を嫌って先生が学生を評価するだけでなく学生が先生を評価する時代です。何を良しとするのかを示せることが重要になってきています。選べる時代だからこそ、選んだ理由が必要で、選んだ理由には選んだ人のあり方が反映されると考えています。

 図書館に当てはめると公共図書館や学校図書館は本を選んで蔵書としています。選んでいる以上比較検討は欠かせないと考えています。図書館が置かれている現状を考えると新たに比較検討の時間が取れるとは思えません。けれどこれは図書館が図書館であり続けるために必要なことだと思います。ここを支えるにはどうしたらいいのかを考えています。上田子どもの本研究所が子どもの本の選書に特化した活動をしたいと考えているのもその一環だと捉えています。