· 

読解力と言われるけれど

 読むことに関して「筋を追うこと」が意外と注目されていないと感じています。まず字を識別して読めること、そして単語として受け取ることができていること、次に子どもに音読させて滞りなく読めているかどうか確認、最後にどういう話だったか内容を確認するのが一般的な読めるようになる際のチェック項目のように見受けるからです。違和感があるのは、内容を確認する際、あらすじとして内容をまとめることが求められる点です。きちんと内容を理解できていればまとめられるので手順としては正しいと思いますが、まとめられない理由がまとめるための力が不足しているからなのか、ちゃんと筋を追うことができないからかを区別せずに行われる気がします。まとめ方の指導は筋を追いきれていない場合には効果を為しませんが、まとめられないという括りで特に問題になっていないと思うのです。

 家庭でたっぷり読み聞かせを受けてきた子どもたちに読解力があると言われるのは「筋を追うこと」が苦もなくできることにあると考えています。家庭で読み聞かせてもらうということは、物語を聞くということを積み重ねてきたということです。繰り返し繰り返し浴びるように物語を聞いてきたことが筋を追う力となり自分で読むときの助けになるのだと考えています。時間も手間もかかるこの体験をしてきたかどうかは自分で読む段階にスムーズに進めるかどうかの違いになっているのだと思います。もちろんこういった体験をしていなければ、次に進めないということではありません。環境に恵まれなかったとしてもやり方によって巻き返すことは可能です。ただそのためには、どこでつまづいているのかをきちんと見極めて、その子にあったサポートが必要です。子どもの要求に合わせてというよりは、次の段階にスムーズに進めるように道を開くのが大事だと考えています。そのために筋を追うことでおもしろさを体験できる物語を見極められることがまず第一歩だと思います。