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読書感想文

 夏休みの時期になると普段見ない時間帯に子どもの姿を見かけるようになり、自分の子ども時代の夏休みを思い出したりします。私の子ども時代はあまり問題視されなかった熱中症対策なのか、子どもたちが水筒を持って歩いているのを見て環境の変化を感じたりしています。また公共図書館では自由研究のコーナーができたりしていて、夏休みの宿題に四苦八苦したことなども思い出されます。

 その中でも私は読書感想文にはあまりいい思い出はありません。本を読むことは私の生活の一部で数も読んでいたのですが、好きな本になればなるほど感想文が書けないというジレンマに苦しんでいました。読んである本のストックがあるので感想文用に改めて本を読む手間が省けて時短になると思われるのですが、返ってうまくいかないのです。私の場合その当時好きな本は、それこそ暗記するほど読んでいました。手元に置いて思いつくままに気に入った場面を読み返したりするのです。読み返す場面はいつも同じではなく、どこもかしこも好きだと思っていたりしました。こうなるとどこをどう取り上げて書いていいのか判断がつかず、結果また読み返してやっぱりこの物語はいいなぁと思って満足するという繰り返しになるだけでした。物語が好きすぎて書けないという体験は、書くことへの苦手意識を私に強く植え付けました。けれど宿題は宿題です。そしてない知恵を絞った結果、感想文を書きやすい本を読めばいいのだという結果にたどり着きました。私にとって感想文を書きやすい本は主題を抜き出しやすい本でそのテーマについて自分の考えを書く事で感想文になると気がついたのです。好きな本だと〇〇について書いてある本という風に割り切れず、主人公だけでなく他の登場人物の視点や考え方にも共感していたりして、多層的に読んでいたのだと思います。でもそれがわかったからと言って書けるかといったら、やはり書きたくない自分がいます。結局好きな本は自分の中で愛でるのが好きなのだと思います。