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緊急避難的な

 感染者数が過去最多記録の更新を繰り返すという事態の中、夏休み期間が終わり学校が始まる時期を迎えました。学校長をはじめ教職員にいつも以上の責任が重くのしかかり、緊張されているのではないかと思います。私も週明けには「本はともだち」事業で学校に伺う予定になっていて、先生方との調整が始まっています。こんな時、変容を繰り返し全容が掴み切れていない新型のウィルスから身を守りつつ、どう自分たちの生活を滞りなく営んでいくかという難問に取り組んでいるのだと改めて思います。ウィルスから身を守るという一点だけで考えれば、無菌室のようなシェルターに全員で避難すればなんとかなりそうです。けれどそれでは生活していけませんしそんな施設を全員分用意することはできません。そこまで極端でないにしても安全を最優先にし休校という方法もありますがその際のデメリットは前回の休校で明らかになってきています。休校は子どもたちの社会性を著しく低下させますし、家庭は昼間は子どもたちがいないことを前提に営まれているので日中の子どもたちの居場所として即機能するものではないのです。よくいわれる学習の機会が奪われ勉強が遅れるということ以前の問題があることを私たちは経験しました。

 そのため万が一学校で感染が起こったとしても、一斉休校ではなく学級閉鎖など最小限の封鎖で対応しようとしているのは前回の経験の現れだと感じています。できるだけ封鎖しない方向での工夫が始まっているのだと先生方のお話を伺っていて感じます。今までの経験から緊急避難的な対応だけでは乗り切れないことがわかってきたので、これからはこの現状の中で被る不利益をどう最小限に抑えていくのかが問われていると感じています。

 そして子どもたちが自発的に自分で読書するプログラムとして始めた「本はともだち」は、子どもたちと対面で行い肉声で伝えることで最大限の効果を発揮するように作ってきました。しかしこの状況下にあってどう対応させていけばいいのか、緊急避難的な対応だけでなく根本的に考える必要が出てきました。それを考えることは絶対譲れないものは何かを確認する作業となるので慌てずに腰を据えて考えてみたいと思っています。