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読む力を育てる

 学校現場と関わっていると子どもたちの読む力が二極化しているのだと感じます。それも読めるか読めないかというかなり極端な二極化が起こっているようです。日本の識字率は世界に誇るものでしたが、識字率が下がりかねない危うさを感じています。読む力は数値化しにくく比較が難しいので読書離れ、活字離れといった言葉に紛れてここまで追い込まれてしまった印象があります。本を読まないのは個人の自由ですが読めないのは読書離れでは済まない問題だと感じています。

 とりあえず問題点の整理と子どもの読書について総合的に考えていく必要があると考えています。学校図書館は子どもの読書について総合的に考えていくのに適している施設です。けれど図書館はその性質上利用者の要求に応えていくことを得意としています。特に学校は子どもたちを指導するのは担任の先生で学校司書は先生と児童生徒の両方からの要求にバランスよく応えなければならない複雑な対応を求められます。また先生によって要求が違うので図書館としてのスタンスが打ち出しにくい現場だと感じています。

 そうはいっても実は、図書館も担任の先生も読む力の向上を目指しているという点では同じです。担任の先生は受け持ったクラスの子どもたちに足りないものを見極めて今解決できる方法を考えることが得意で現時点の変化を求めます。すべての学年に同時に関わる図書館は読む力が育っていくことに寄り添い時間をかけた変化を期待します。この違いは本来対立するものではなく相互に影響しあって子どもたちの読書環境を整えるものだと思います。様々な要求に右往左往するのではなく読む力を基盤に情報共有すれば立場を超えてよりよい方法が見出せるのではないかと考えています。そのために学校図書館が読む力を育てるという使命感を持ち図書館運営に取り組む必要があると思います。そして学校図書館が横のつながりを持ち上田市の学校図書館として機能できるといいなあと思っています。