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短文は難しい

 ツィッターで児童精神科医の佐々木正美の名言集というアカウントがあります。佐々木さんの名言がつぶやかれ、はっとさせられることが多いです。けれどこういったツィッターの難しいところは語られた言葉もしくは書かれた文章を部分的に切り取るところにあります。切り取ったからこそ印象は強くなるのですが正確性に欠けていくことがあると思います。例えば佐々木さんの言葉として「どんな子にも必ずいいところがある。いいところを見つけて伸ばしてあげる。これが教育である。弱点は容易に修正できないから。」というツィートを目にしました。この切り取り方に教育の本質をついていると感じる反面、この文脈をどう活用するかで教育の取り組み方が変わる危険を孕んでいると感じました。問題は弱点をどう捉えるかですが、弱点が容易に修正ができないから放っておいていいと捉えるか、容易にできないからこそ長所を伸ばしながら弱点にも取り組んでいく必要があると捉えるかで対応が変わるからです。この切り取った言葉だけでは、佐々木さんがどう考えているのかはわからないと思います。弱点の克服だけに注力しては子どもが無力感に囚われる危険がありますし、苦手だからと食わず嫌いで済む弱点ばかりではないと思います。

 インパクトがあり、わかったと思わせる言葉は答えが自分の中に作りやすく納得しやすい言葉であることが多いと感じています。そしてたくさんの人に共感され、SNSなどでバズるといわれる言葉はそれぞれが自分流に解釈が可能な言葉の場合が多いのではないかと想像しています。多くの人の共感を呼ぶ目の付け所や文章の巧さを感じることも多く、SNSには SNSの魅力があると思いますが、わかりやすさがこの自己流の解釈と隣り合わせだとすると、それは言葉が通じていないことに目をつぶっていくことにもなります。短文に流れていくことは、理解から遠ざかるのかもしれないと感じました。短い言葉で伝える和歌や俳句なども短いからこそのルールがあり知識が必要です。短い言葉で的確に伝えることは意外と難しいことを意識することが大事だと思います。