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何を選ぶのか

 私のスマホの調子が悪く、通話中にこちらの声が相手に伝わらなくなって途中で通話が成り立たなくなるというアクシデントに悩まされています。固定電話を使った期間が長いせいか電話の途中で繋がらなくなるなんてスマホは電話としての使い勝手が悪いなあと思っています。私のスマホは年季が入っていますし自宅のWi-Fi環境が不十分なのかもしれないので八つ当たり的な発想かもしれません。また電話というよりパソコンと捉えた方が相応しいのかもしれないスマホを電話の機能だけ取り上げて比べること自体無理があるのかもしれません。けれどこういった比較は、図書館が本を選ぶ時の見方と似ていると感じています。

 生活する上で私たちは便利を求めて新しい機器や多様な機能を取り入れることで快適な生活が実現すると考えてきました。技術が進歩することで今まで不可能だったことが可能になり私たちの生活が豊かになると感じてきましたし信じてきました。そのためいかに新しいものを取り入れるのかに注目してきたと感じています。確かに新しい技術は新しい扉を開く鍵になっていくので、単なる電話ではないスマホの普及もありWi-Fi環境が飛躍的に整ったことで、家電をインターネットに繋いで外出先から操作するといったことまで可能になってきました。けれど無線のWi-Fiに頼ることは、電波の状況に左右されることです。どれだけWi-Fi環境を整えても有線の安定性に敵わないことがあります。選ぶ際に利点だけを比べるのではなく総合的に判断することが大事だと思います。インターネットに接続することで言えばケーブルを使うためにインターネットに接続できる場所が限られることと接続の安定性はセットです。そしてそれは有線を使ったことがなければわからないことです。新しいものばかり見ていては気がつくことができないのだと思います。同様に図書館の本も新刊だけで比較検討していては見誤ると感じています。古い作品でしか味わえないことと新しい作品でしか味わえないことを比較していくことが大事なのだと思います。同時期に生まれた本だけを見ていては子どもの本のあり様を捉えきれないからです。コールデコット賞などの歴代受賞作品を見ても単年だけで評価すると妥当な評価にならない場合があります。新しいものだけでなく古いものを知っているからこそ、また時代によってどう変化してきたのか知っているからこそ判断がつくと感じています。

 昨今は老害という厳しい言葉が飛び交い、自分の子ども時代を振り返ったりその当時のものを評価することに怯んでしまいがちですが、歳を重ねたからこそ見えることがあると思います。欠点と長所を総合的に比較できることが選ぶことにつながっていくと考えています。