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台本の意味

 読み聞かせをする活動が広く浸透してきて、今度は読み聞かせだけでなく子どもたちに本の紹介をしたいという人が出てきていると感じています。読み聞かせだけでは子どもたちが本当の意味で読書に親しむという形にならないことに気がつく人が増えてきたのだと思います。そんな中でブックトークという言葉も広く知られてきていると感じます。そしてブックトークを開設したりやり方を説明する指南書タイプの本も目にするようになってきました。ただブックトークと本の紹介の境界線を気にするあまり気負いすぎたり、逆に違いを意識せずに境界線をなかったことにしたりと座りが悪い状態だとも感じています。個人的には本の紹介は本の内容も紹介する冊数にも特にルールはないもので、ブックトークはテーマを設定しそのテーマに沿って複数の本を組み合わせて紹介するものと考えています。ただあまり堅苦しく捉えることはないと感じていて、一冊だけ紹介するのはブックトークではないくらいでもいいのかもしれないと感じています。

 またブックトークの指南書が増えてくると、ブックトークをする際に台本を作らなければいけないと考える人が出てきました。確かにブックトークの本に台本を作りましょうと書かれていることがあります。台本という言葉に戸惑ってブックトークは無理と判断したり、台本を作る意義を見出せなかったりすることがあると思います。けれど台本に含まれるメッセージだけ汲み取れれば台本を実際作るかどうかは問題ではないのかもしれないと思います。台本のひとつめのメッセージは「手をかけてね」なのだと思います。この場合の「手をかけてね」は台本が作れるほど紹介する本を読み込んで選び抜いて欲しいということだと思います。そしてふたつめは「セリフにしてね」です。台本を文語で書く人はいません。いやでも喋り言葉になります。話すことを前提にして欲しいということだと思います。みっつめは「暗記してね」です。そもそも台本は演劇で使われるもので台本は覚えて使うものです。あえて台本をという言い方をする意味は覚えて使うということが含まれていると感じます。何も見なくても喋れるようにしておくというのが大事なのだと思います。とはいえやはり手がかかるのだなぁというのが感想です。簡単に手っ取り早く効果が出るものというのはないのだと改めて思います。愚直に積み重ねることを厭わずに活動していくことが最終的には効果を生むと感じています。