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先入観から自由に

 最近偶然立ち話をしたことで人との出会いも悪くないと思う出来事がありました。初対面で知り合いではない人なのですが同じ自治会の人と自治会主催の地域清掃の時に話をしました。その人は自治会で広報を担当されていて広報誌用を写真を撮っていらっしゃるところでした。自治会の広報誌が1年ほど前から内容が変わりおもしろいと思っていたので作っている人に興味があったというのも話をするきっかけでした。話してみるとやはりその広報誌を作るだけの考えを持っていらして、自治会の役員が変わることの意義を感じました。様々な人が関わることで新陳代謝が起こり変化していくことが可能で将来に希望が見える気がしました。私自身なんとなく自治会は旧態依然としていて変化が望めないし、時代に合わない組織といった先入観を持っていたのだと思います。また地域といっても自分が知らない人がたくさんいるので自分が思っているより変化する余地はあるのだと気づきました。

 自分の先入観を自覚した時に『海馬 脳は疲れない』池谷裕二・糸井重里/著 ほぼ日ブックス を思い出しました。脳科学者の池谷裕二さんとコピーライターの糸井重里さんが頭のよさや脳の使い方などをテーマに対話形式でまとめられた本です。タイトルにある「海馬」は記憶のカギを握るという脳の器官で、この研究により加齢によって脳が衰えないことが書かれていてはじめて読んだ時とても驚きました。また海馬の役割は情報のふるいで、さらされている膨大な情報の中から、海馬は必要な情報だけを選び抜いていると述べられていますが、この機能がなければ見るもの全てが刺激となりとても耐えられないのだそうです。ですから知っているものは刺激として捉えないようにするのも海馬の仕事だそうでそれはある意味先入観につながりますが安全装置なのだと思います。けれど時にはあえて思い込みを排除し新しいものとして向き合うと見えてくるものがあるのだと感じました。刺激にさらされるのは消耗するので守りに入りがちですが、新しい発見はそれを上回る満足感があると思えた体験でした。