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サポートすることを考えたい

 集団行動が苦手で黙っていられない子などは、まだ「自分」という感覚が形作られていないのではないかと思います。集団行動が苦手で落ち着かないというハンディキャップもあり診断が付いている子どもたちもいるので一概には言えないとは思いますが、グレーゾーンと言われる子どもたちが存在することを考えるとこの考え方で接した方がいい場合もあるのではないかと考えています。黙っていられない子どもたちは次々と言葉を繰り出すことで自分を作ろうとしているのではないかと感じることがあるからです。ただこれは非常にデリケートな問題だとも思います。おとなとのやりとりが足りないから「自分」という感覚ができていないと断じるとハンディキャップのある子どもたちを育て方の問題として追い込んでしまうこともあり慎重な対応が必要です。けれど何が悪かったのかではなく、その子にとって何が足りないのかという視点で考えると子どもたちのサポートとなる関わり方が見えてくる可能性があります。

 学校は集団生活ができることが前提で計画運営されています。ですからこういった集団に入る準備が整っていない子どもたちに対するサポートを得意とする場所ではないと感じています。そのため集団行動が苦手な子が増えると学級単位で動くこと自体が難しい状況になっていると感じています。けれど集団でしか学べないことというのはたくさんあり学校教育はそれを担っているのだと感じています。集団生活によって引き起こされる問題というのもありそのマイナス面が目立つと集団で学ぶこと自体が否定されることもありますが集団で学ぶことはデメリットよりメリットの方が大きいと感じています。個人は尊重されますが人間は群れで暮らす生き物です。急に群れで暮らせるわけではなく時間をかけて自分が群れの一員であることを緩やかに体得していく時間が必要です。この緩やかが大事で短期間で集団を作ろうとすると新兵訓練のようになり本来の群れの姿とはかけ離れたものになってしまうと思います。そういった意味で学校教育が果たしてきた役割は大きいと感じています。加えて思春期は同世代からの情報でないと受け付けないことがあります。群れの中の居場所が作れていないと思春期になって庇護してくれていた親から離れる段階に来た時孤立してしまいます。ですから集団行動が苦手な子どもたちへの関わり方を考えていかなければならないと思っています。