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読書とサポート

 読書について考えるとき、本を読むことを個人がどう捉えるかが切り離せないと感じています。読書の捉え方は年齢が上がるにつれて変化していき、おとなと子どもでは読書することに対する感覚が違うと思うのです。けれどその変化に気が付かずに読書について語ったり、子どもたちに読書を勧めたりするのでうまく伝わらないのだと思います。感覚の違いを考慮せずに読書すること自体を奨励すると子どもたちに届かないのだと考えています。

 本を自分で読み始めた子どもたちにとって読書することが自分にとってどういうものかということまで感じる程、本を読んでいません。読書は楽しいと伝えても読書をして楽しいと感じる経験が少なすぎると共感できません。読む経験を積むことでしか読書が自分にとってどういうものかを判断することができないと思います。おもしろくなければ読まないし読まなければおもしろいものと思えないというまるで卵が先かにわとりが先かのような問題です。だからこそ自分で読み始めた子どもたちに本を選ぶ手助けが必要だと考えています。子どもたちが自分で本を選ぶには読んだ経験がなさすぎて手がかりがないことをおとなは意識する必要があると思います。挿絵で本を選ぶということも読み始めの段階で自分で選ぶことを推奨された結果、自分で本を見分けるための判断材料として挿絵を手がかりとしたことが習慣になったためだと思います。そして司書は利用者主体の訓練を受けているので子ども自身が選ぶことが重要だと考え、自分で本を手にしている子どもたちにサポートが必要だと思えないのかもしれません。けれどこの読み始めの時期の過ごし方がその後の子どもたちの読書生活を左右します。日本では図書館員は司書という資格があるだけで児童図書館員という専門分野がありません。子どもの読書はおとなと同じではないからこそアメリカなどでは専門分野として確立しています。そのため私たちには系統立てた学びの場は用意されていませんが、それでも知恵を出し合って子どもたちの読書をサポートしていきたいと考えています。