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無意識で積み重ねること

 生活様式が変わると私たちの経験値は無意識で変わっていきます。子どもたちが何を積み重ねているのかは生活様式や習慣の影響が大きいと感じています。MIMの取り組みなどから今の子どもたちに足りないものが見えてきますが、以前の育ち方の方が良かったということでもないと思います。以前の育ち方をしないということは生活様式から変わったということで以前の育ち方では身につかないものが育っている可能性があるからです。けれど読む力といった子どもたちが生活する上で一生必要とされ続けるであろう力は今の育ち方で身につかないのであればサポートしようということなのだと思います。例えば正座などの床に座る習慣が椅子を使うようになり、布団がベッドに、トイレが和式から洋式に変化したことで体の使い方が変わり、日本人の気質と言われたような性質が変化してきたのだと思います。身体をどう使うかの経験値の差は人が形作られる時に影響を及ぼしますが、今と昔とどちらがいいということでもないのだと思うのです。

 ただどう体を使っていくのかの経験値は侮れないとは思います。例えば和式トイレを使っていたときは必要に迫られて毎日否応なくスクワットをしていたようなものだからです。毎日10回未満でも生きている限り続くのですからトレーニングとしては侮れません。だから和式トイレに戻そうというのではなく、今の生活様式に沿って経験値が上がることを考えていくことが大事なのだと思います。読むことに関しても子どもたちが本に興味を持たないなら子どもたちが喜ぶようなビジュアル的に目を引くものを手渡すといった対応では本を読むという力が育つ積み重ねにはなりません。子どもたちに本を手渡そうとする時には、子どもたちが楽しみながら読み、それを負担に感じない形で積み重ねていける方法を考える必要があります。遊びとして組み込まれていた言葉の習得を現代ではどんな形にしたら子どもたちが無意識に積み重ねることになるのか考えてみたいと思います。