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評価の基準

 学校教育では子どもたちが読書に親しんでいるかを見る際に学校図書館での貸し出し冊数が判断材料に使われています。内容を問わずに冊数だけで判断することに以前から違和感を感じていましたが、自分で積極的に本を選べることが読書に対する意欲だと思われていることにも違和感を感じます。確かにおとなの場合読書に親しんでいる人ほど、積極的に読みたい本を探し読む本が何かしら手元にあるという人が多いと思います。けれどこれは完成形であって子ども、特に小学校低学年に当てはめるのは乱暴だと思います。

 そして子どもたちに読書して欲しいとおとなが願う割に、子どもの読書に関しては成長過程を見据えて段階を追ってサポートすることはあまり考えられてこなかったと感じています。これは子どもを取り巻く社会において親以外は子どもたちの成長に短いスパンで対応する仕組みになっているからだと思います。子どもたちが多くの時間を過ごす学校教育においても担任の先生が同一のクラスを担当する期間が短くなってきている傾向があり、また小学校も中学校以降のような教科制にしようという動きもあります。たくさんの先生方が関わることのメリットも大きいと思いますが読書のような息の長い見守りが必要なものはますます置き去りにされかねません。そして学校司書にその専門性を担わせるなら、職員会議に出席するような立場を保証する必要があると思います。事務補助という立ち位置で読書教育の主体を期待するのは無茶です。

 組織や制度の整備に関しては私たちがどうこうできる事ではありませんが、だからといって私たちが無策でいていいということにはならないと考えています。現状の立ち位置でも読書する子どもたちを育むという使命は変わらないからです。時間的制約や先生方との連携の難しさの解決を待ちつつ、学校図書館の運営は子どもの成長段階を意識した目標設定をして取り組む事で仕事がやりやすくなると考えています。そのために子どもの読書する力をどう判断しどうサポートするのかを整理し直すことが大事だと思います。学校図書館オリジナルのチェック項目のような判断しやすい基準を作って実際に現場で試しながら上田モデルの構築を目指してみたいです。