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おもしろがることが大事

 何かを始めようとしたり仕事をする際に荷物の重さを知り重さの調整をしていくことも歩く距離によっては大事だと思いますが、荷物の重さばかりに気を取られると目的が変わってきてしまうと考えています。図書館などはその最たるもので仕事の効率や取り組みやすさで仕事を考えていくと図書館の役割を見失っていくことがあります。そしてこれは学ぶということ全般に当てはまることなのかもしれないと考えています。

 学校教育においては受験戦争といわれた詰め込み教育の時期と生きる力を育むといわれた課題解決型の学びを提唱した時期があります。問題点を改善するための制度の変更だったのですが問題は制度そのものにあった訳ではないと考えています。問題は学ぶ側が照準をどこに合わせるかなのではないかと思います。受験戦争も入学が目的ではなく入った学校での学びを視野に入れた受験であれば無駄だといわれることはなかったのだと思います。また生きる力を育むことも一斉授業から問題点を見つけ解決させるというやり方に変えたからといってその先自分で解決していこうという姿勢が身につくかといえば難しいのだと思います。課題をこなすという短絡的な目標設定をすればどんなやり方も骨抜きになってしまいますが、集団で暮らす人間にとって与えられた仕事をこなすことも必要なスキルのため、問題がややこしくなるのだと思います。そして往々にして与えられた課題や仕事は背負わされた荷物と感じることが多く重みを感じがちです。

 そんな中で荷物を気にせずに取り組むための一つの方法がおもしろがることなのではないかと考えています。上田子どもの本研究所でやりたいと考えていることも、冷静に考えすぎると取り組む前から無理だと考えてしまいそうです。けれど子どもたちと付き合う中で子どもたちの成長を感じることができるかもしれないのです。子どもと付き合う最前線にいる私たちに必要なのは目の前にいる子どもたちと一緒に前に進むことです。子どもの成長は何より興味深くおもしろいことだと感じます。子どもたちと本、どちらも魅力的な存在で両方の美味しいところを堪能できる立場は荷物を忘れさせてくれると思っています。