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クラス単位ということ

 「本はともだち」は7冊の本を約1ヶ月の間にクラス全員が読むというスタイルなので、全員に回すための工夫が必要です。どうやったら全員に回すことができるのか担任の先生に工夫してもらってそれぞれのクラスで取り組んでもらっています。私の方からのお願いとして、本はともだちで紹介した本を自宅に持ち帰ってもいいけれど、読み終わっていなくても学校がある日には必ず学校へ持ってくるようにと子どもたちに伝えています。理由は本はともだちの本は読むのを待っている人がいる本だからです。学校へ持ってくることで、休み時間などに読み進めることができるかもしれないし、他の子が休み時間に読み終わってしまうかもしれないので自宅に置きっぱなしにしないでという説明をしています。

 ところが昨日「本はともだち」があったクラスで本を家に置きっぱなしにした子がいて、本が回らなかったという話を聞きました。先生も何度も持ってくるように声をかけてくださったようですが、持ってくることができなかったようです。そして「本はともだち」の時間が終わってから、その家に本を置きっぱなしにした子がわざわざ私を呼び止めて、家に本を置いてきてしまったことを報告してくれました。どうも私が前回の本を持って帰るのだと思っていたようで「本はともだち」がある日に忘れたことが心にかかっているようだったので今日じゃなくても大丈夫だと伝えました。ちょうど担任の先生も隣にいらしたので、月曜日に持ってくれば大丈夫だよと言葉を添えてくださいました。けれどなかなか安心できずに思い切って確認にきたその子の必死さを感じました。

 その子が忘れたことを悔いている感じがその表情からも伝わってはきましたがルールの難しさを感じました。「本はともだち」がある日に本を忘れたことよりも、ずっと家に置きっぱなしにしたことを気に病んで欲しかったからです。2年生という年齢だとルールを一回伝えたからといって全員が理解してくれる訳ではないのに、うっかり一回しか伝えていなかった自分を反省しました。待っている人がいるからというのは全員が全冊読むという「本はともだち」にとって重要な視点です。自分だけが読むのだったら読み終わるまで家に置いておくのは決して悪いことではありません。読み終わっていない本を学校へ持って行ったら次の人の番になってしまうかもしれないという不安もあったのかもしれません。読んでおもしろかった本を手元に置いておきたいという気持ちになることもあります。それらいろいろな思いを含めて全員全冊を読む楽しみというのを体験してもらうことが「本はともだち」の役割です。本と友だちになるだけでなく、本で友だちとつながるのも「本はともだち」の狙いです。