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ひとり読みを視野に入れた読み聞かせ

 今年度図書館主催の読み聞かせ講座を子どもの読書講座とし「ひとり読みを視野に入れた読み聞かせ」「読み聞かせボランティア」「おうちで楽しむ読み聞かせ」の3つの講座でお話ししています。切り口を変えるというのはとても刺激的で自分の考えていることの整理にもなり、より参加者の方に寄り添った内容の展開が可能になりました。ただ今まで図書館ではやったことのない「ひとり読みを視野に入れた読み聞かせ」に関しては、私の考えていたやり方では理解してもらえず、参加してくれている人たちが何に困っているのかを私が見極めていないことが炙り出されるという状況になっています。

 私としては絵読みができるという視点さえ持てれば読み聞かせ用の絵本選びはスムーズにいくものと思っていました。けれど今までこの言い方で伝わってきたのは、ストーリーテリングもやっている人たちに伝えていたからなのだと今回気がつきました。ストーリーテリングのテキストで重要なのは聞いて理解できるか、言い換えると物語の展開に活字なしでついていけるかが重要です。そのため活字を追わずに聞くということがどういうことなのかを改めて説明する必要がなかったのです。けれどストーリーテリングをしない人に分かってもらうには、聞いて理解できる物語が何かを知ってもらった上でそれとセットで考えてこその絵読みだったのです。ですから今回の説明で絵読みが難しいと思われるのはもっともだと思います。ストーリーテリングをしない人にとっては聞いて理解できるという物語を見分けることから始めないと絵読みの話は混乱を招くばかりなのです。幸いなことに講座はまだもう一回残っていますので修正したいと思います。そして聞いて活きる物語を知るにはストーリーテリングを聞くことが近道かなと思います。まずはストーリーテリングを聞くこと、そしてテキストを読んで比べることです。黙読したら物語の作りのシンプルさに驚かれることと思います。物語の進行に必要なことのみ語られるのがストーリーテリングのテキストとなる物語です。必要なことだけが語られていくので止まらずに聞いても理解できるのです。注意が必要なのは語りと言われるものには種類があることです。大きく分けて伝承の語り手と現代の語り手がいます。伝承の語り手は自分が聞いた話を再現できる人です。そのためテキストがありません。一方現代の語り手はテキストから覚えて語っている人です。現代の語り手にも流派があり一口で言えない部分もありますが、とりあえず語った話のテキストを紹介してくれる人の話を聞いてみてほしいと思います。ちなみに私は現代の語り手です。そして様々ある語り方の中で自分の語りの種類を表すためにストーリーテリング という言い方をあえてしています。