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読んで確かめるおもしろさ

 おはなしざしきわらしの会では、語り手が毎月ストーリーテリングや絵本を持ち寄ってお互いに聞き合う勉強会をしています。聞くことは時間がかかるのでそこで聞く物語は多くても5つです。数を絞ることで長さを気にせずに気になった物語を持ってくることができますし、聞く側も落ち着いて物語に没頭できます。これは読み方の勉強会ではなく聞いた時にどう聞こえるのか、物語がどう伝わるのかを確認することがメインです。持ち寄った絵本やストーリーテリングが私たちのおはなしの会で使えるかを見極めている感じです。絵本やストーリーテリングは聞いて受け取るものなので、聞いてみて初めて気がつくことが多々あります。そのため子どもたちと同じ土俵に立って確認することに意味があると感じています。

 同じように子どもの本は読んで確かめることが重要だと考えています。書評などはふるいをかけるようなもので、ある程度の絞り込みはできても決定打にはならないと思うからです。最後は読んで確かめないことには、その本の真価を見極めることは難しいと思います。その際大事なのは頭を空っぽにして物語だけに向き合うことだと思います。おはなしざしきわらしの勉強会でも大事なのは子どものように聞くことだと考えていますが、読む時も子どものように読むことがポイントです。子どものように読むというのは、主題を見つけることでも文章の構成や子どもの成長に好ましくない場面があるかをチェックすることでもありません。物語としてすんなり頭に入ってくるか、物語の中で起こることが必然と感じられるかを見極めたいのです。物語が物語としておもしろいということが読書につながると考えています。おとなは目的を持って本を選ぶことも多いので内容に比重を置きがちになります。けれど子どもの成長にプラスになるかどうかという視点で子どもの本を見ると教材としての本という見方になるような気がします。読んで確かめたいのは物語として文句なしにおもしろいと感じられるかです。そのため子どもが今喜んで読んでいる本も含めて読んで確かめる必要があると感じています。子どもたちが支持している本が物語としておもしろいとは限らないからです。自発的に読んでいるなら本の内容や種類は問わないという姿勢でサポートを怠ると年齢が上がった時に読書をしなくなっていくことは体験的にわかっています。子どもたちが物語に親しんでこそ読書推進になります。そして物語として楽しめるかどうかは読書に慣れたおとなしか判断ができないのではないかと考えています。上田子どもの本研究所では子ども時代のようにただひたすらに物語と向き合う時間をみんなで持ちたいと思っています。