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隙間を埋める

 縦割り行政という言葉があるように、行政の仕事の役割分担はどこまでいっても隙間ができると感じています。これは身近な市役所といった地方行政だけでなく省官庁も含めての問題だと思います。そしてこういった隙間ができることは珍しいことではなく、そもそも市民生活は問題点が複雑に絡み合っているため担当部局を決めかねることも多いからだと見ていて思います。問題が起こったときの責任の所在といった考え方と相まって隙間の問題を積極的に引き受ける姿勢は取りにくく、いよいよ困ると新しい担当部局を作るといった対策がとられ現場はますます混沌としていく印象です。

 また行政組織は各担当部局内で計画や方策が完結することが多いので他の部局の計画が干渉しあって同時進行が難しいといった事故も起こります。まだ市の組織は総合計画といった全体を見る形をなんとか保っていますが、国のレベルになると横の調整が取れているような取れていないような計画が結構あるような気がしています。特に陳情などを受けて困りごとを解決しようとすると、その問題は解決できるかもしれませんが他の部分にしわ寄せがいくことが意識されていないと感じています。全員が満足することは不可能だとわかっていますが、それでも何を犠牲にするのかの意識があまりにも足りないと思うのです。

 そして私たちの社会生活はこの行政組織の仕組みで回っています。ですから上手に行政組織と付き合っていく必要があります。そしてあちらを立てればこちらが立たずという私たちが生活する上で感じていることの延長に行政組織もあると考えると苦情を言って解決するようなことではないと思えます。誰が担うのか迷う隙間は行政組織だけでなく私たちの生活でもよく起こることですし、予算には限りがありますから生活していくには優先順位をつけるしかないことも多いです。もちろん現状維持でいいと思っているわけではなく、行政はこんなもんだと諦めようと言っているのでもありません。政策や計画で起こる歪みを最小限にする工夫は必要で、悪いのは行政だと指摘しても問題解決にならない気がしています。大きな影響力がなくとも歪みと向き合い少しでも社会がうまく回るよう考えていけたらと思っています。