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体力的なものも

 私は読書するようになってからずっと長い物語を読む事に躊躇することはなく読み終わってしまうことを残念に思うこともあったのですが、最近長い物語を読もうという気持ちが薄れていると思う事があります。元々毎日少しずつ読み進めるよりも読み始めたら一気に読みたいタイプです。大人になるとまとまった時間を取りにくくなるので長い物語に向かわなくなっていると思ってきましたが、時間があったとしても長編小説を積み上げて1日読書三昧という以前のような楽しみ方を欲していないような気がします。こうなってみると本を読み続けることも自分が思っているより体力が必要なのかもしれないと思います。

 また内容的にも悲しすぎる物語やこれでもかというほど困難が降りかかる物語を避けるようになってきています。ですから真っ先に読みたいというより読んだ人に救いのない物語ではないことを確認してから読んだりするようになりました。これも以前なら考えられないことです。まっさらな誰の足跡もついていない雪原を歩くような感じが読書の喜びだと思ってきました。読む前に誰かの感想を聞くのはその楽しみが濁る感じがして嫌いでした。けれど最近は先に読んだ人の意見を聞いてから読むことを厭わなくなりました。これも加齢による体力的な問題なのではないかと思っています。ありがたいことに読書で信頼関係を培った仲間にも恵まれているので必要以上に内容に踏み込まず私の知りたいことだけを答えてもらえるからこそ質問できるのかもしれません。

 自分が歳を重ねるにつれて読書の仕方がこんなに変わるとは思いもしませんでした。経年変化を惜しむ気持ちはゼロではありませんが今の楽しみ方も嫌いではありません。過去の読み方があるからこそ今があると思えるからです。そして年長者がよく口にする若いうちに〇〇をしたほうがいいというアドバイスの意味が分かった気がします。正直真剣に受け止めてきませんでしたがその年齢の時だからこそできることがあり日々を大切に過ごそうというメッセージなのだと思います。そしてそれは今にも言えることだと自戒を込めて考えています。